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はじめに
以前お話ししたTHAの手術見学に引き続き、人工膝関節全置換術(以下TKA)の手術見学に行ってきたので、今日はその話をしたいと思います!
よろしくお願いします!
人工膝関節全置換術(TKA)とは
TKAはTotal Knee Arthroplastyの略称です。
その名の通り、膝関節全てを丸々金属に変えてしまうという手術です。
コンセプトは、「痛みが生じている関節を全て金属に変えて、痛みを感じない関節に変えてしまう」です。
その予後について以下にまとめてみます。
人工膝関節全置換術(TKA: Total Knee Arthroplasty)の予後
1. 長期的な予後(耐久性・寿命)
- 耐久性:約15~20年
最新の人工関節は耐久性が向上しており、約85~90%の患者で15年以上、70~80%の患者で20年以上機能すると報告されている - 再置換のリスク
若年者(50~60代)での手術は、長期的に再置換手術が必要になる可能性
2. 術後の回復とリハビリ
- 術後3~6ヶ月で大部分の回復
3ヶ月程度で日常生活に戻れるケースが多い。完全な回復には6ヶ月~1年かかることも。 - リハビリの重要性
術後の運動療法が予後に大きく影響。適切なリハビリで関節可動域が改善し、良好な機能回復が期待。
3. 術後の合併症とリスク
- 感染症(1~2%)
- 血栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症)
- 人工関節の摩耗・ゆるみ
4. 生活の質(QOL)の改善
- 痛みの軽減
手術を受けた患者の90%以上が痛みの大幅な軽減を実感。 - 日常動作の改善
- スポーツ・趣味の復帰
5. 予後を良くするポイント
- 術後のリハビリを継続すること
- 適切な体重管理(肥満は人工関節の寿命を縮める)
- 膝に負担をかけない運動(ウォーキングや水泳)を続ける
手術をすることで体重をかけても痛みが出ない膝関節を作り出します。
ただし、術後のリハビリ次第で日常生活動作のレベルが変わってくるので、患者さんにとってはその後のリハビリをしっかり行うことが大切です!!
伸展制限について
膝関節において最もリハビリで頑張らないといけないのが、「伸展制限をなくすこと」です。
ここは本当に重要なので順を追って説明していきます。少し長くなりますが頑張ってみていってほしいです。
膝伸展可動域が重要な理由
- 膝の骨の構造的に、伸展している方が接地面積が広く安定する
- 膝は伸展0度で膝にある靱帯全てが緊張し、関節が安定する
- 曲がったまま歩行を繰り返すと、大腿四頭筋を過剰に使用してしまい屈曲制限になりうる
伸展0で骨が安定する
大腿骨はその形態が楕円形で、伸展位に近づくほど脛骨との接地面積が増えます。
そのため伸展位では骨性の安定性が得られやすいです。(下図:横から膝を見た図)

伸展0で一番靱帯が緊張する
伸展位で膝関節に存在する靱帯は緊張します。
正確にいうと、膝関節に存在する靱帯の全ての線維束は緊張します。(下図)
屈曲位では全ての靱帯が弛緩するというより、弛緩する線維が出てくるため伸展位ほど緊張しないということです。(例:屈曲すると内側側副靱帯の前方は緊張、後方は弛緩する)

ここで重要なのは伸展0で靱帯全てが緊張し、骨も安定するため、「静的支持機構による関節の安定性が得られる」ということです。
少し難しい言葉です。。
静的支持機構は靱帯や骨、人間が意図的に動かせない臓器のことで、動的支持機構は筋肉を指します。動的支持機構に頼ってしまうことが、痛みの原因に繋がるケースが多いです。
まあTKAの場合、関節内の十字靭帯は機種によってはありませんが、、
このことは次の項目でわかりやすいです。
屈曲位での歩行は伸展制限を助長する
屈曲位での歩行は、大腿四頭筋の収縮を過剰に必要とします。
先ほども話した通り、屈曲位では静的支持機構が働きにくい環境となります。
そのため動的支持機構(筋肉)を用いて、関節を安定させる必要があります。
この時働き過ぎてしまうのが、大腿四頭筋なのです。
図のように、このまま体重を乗せるとガクッと膝折れしてしまいそうですよね。
そこで大腿四頭筋の力が必要になるのです。これは意図的ではなく勝手に過剰収縮が生じているケースが多いです。
こうして大腿四頭筋は硬くなり、屈曲制限ももたらす可能性があるというわけです。
人工関節で術中に膝伸展をどう獲得するのか
手術前に伸展制限が大きく生じ、本来0であるべきところが、-5〜15°の制限が生じている人たちはざらに存在します。
今回手術見学中に、「お医者さん達はそこをどのように手術で改善しているのか」について聞いて、見て理解してきました。
よく本などでは、「手術中に伸展制限の要因になるであろう軟部組織にメスを入れて、そこを解放してあげる」といった、内側組織解離術などをされている本もいくつか見かけました。
しかし今回学んだことは、「意外と骨を綺麗にしてあげるだけでも、伸展制限は改善されることが多い」ということです。
TKAの対象となる変形性膝関節症では、骨棘と言って変形が進むにつれ生じる棘が骨に存在します。
これは変形した膝関節がグラグラになるのを止めるために、体が勝手に反応し体を治すために生じる正常な反応です。(下図参照)

ここを掃除してあげるだけでも伸展制限が著名に改善するという事実は、今回大きな学びとなりました。
なぜならその後に行うリハビリテーションが変わってくるからです。
そこはおいおい話しますね!
疑問点
未来の自分のために、今回思った疑問点をまとめておきます。
- ほとんどの機種では、外反角度5-10度、矢状面では大腿骨側インプラントが0-10度の屈曲位が理想とされているが、術中どう決めているのか
- CR型のTKAで、PCLの緊張を確かめるときどうしているか
手術見学を行ったので、手術に関する疑問をまとめてみました。
知ってる方がいればぜひ教えてください!
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