リハビリテーション

【慢性的な疼痛の機序と対応:PT目線】3年目理学療法士が考える慢性疼痛の機序と対応。

慢性疼痛とは。

はじめに、慢性疼痛とは

「治癒に要すると予測される時間を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み」

「3〜6ヶ月以上継続する持続的な痛み」

などと定義されているそうです。

痛みには何かしらの原因が必ずあると考えています。

理学療法士の中には、すぐに心因性、つまり痛いと思い込んでるだけだろうと結論付けてしまうセラピストも少なくありません。

この結論は医療従事者としてあるまじき行為だと思います。

もちろん、認知症の有無や性格を加味することは大切ですが、

痛いと訴えている、跛行が出現しているのにも関わらず、筋力トレーニングばかりさせてなんとかなるでしょうというというのはあまりに暴論です。

今日はそんな慢性疼痛に関して、根本的な部分の考え方を自分なりにまとめていきたいと思います!

痛みはどうして出現するか。

今日は難しい単語をできるだけ使わずに解説してみます。

前提として、痛みが出現する部位には必ず血管や神経が存在しています。

そのため、腱や靱帯、椎間板、半月板の外縁1/3の範囲など血流が乏しい部位では本来痛みは生じにくいはずです。

反対に痛みが生じる部位はというと、滑液包、脂肪組織、筋、瘡蓋、組織損傷後の瘢痕組織などが考えられます。

慢性疼痛というのは厄介で、この両方どちらで痛みが生じているのかをしっかりみていく必要があります。

「え、血流乏しい部位でも痛みが出ることあるの?」

ややこしくてすみません。また後ほど説明します。

組織損傷後の反応

筋肉や皮膚などは損傷すると必ず修復していきます。その過程で必ず途中瘢痕組織が形成されます。

靱帯や腱は断裂すると勝手に治ることはなく、外科的治療が必要になります。例えばアキレス腱縫合、前距腓靱帯縫合などですね。

繋げてあげればしっかり修復していきます。が、筋や皮膚に比べて治りは遅いです。

以前にもお出ししたこちらの画像を参考にしてください。

そしきの 修復過程で形成される瘢痕組織には必ず血管や神経が流入してきます。

そのため痛みが生じてもおかしくはない状況になるわけです。

化学的ストレスと機械的ストレス。

化学的ストレス。

化学的ストレスとはここでは炎症反応のことを指します。

組織の治癒過程で必ず生じる炎症。

炎症の5大兆候として、「熱感、発赤、腫脹、疼痛、機能障害」が挙げられます。

既に疼痛が含まれてますね。

まず一つこれが原因で疼痛が生じます。

ただし、炎症反応が続くのは先ほどの図でもあるようにせいぜい2〜3週程度です。

そして炎症反応に対しては理学療法士はRICE処置程度です。

「安静、アイシング、圧迫、挙上」ですね。

ほとんど僕たちは介入できないというわけです。

機械的ストレス。

次に機械的ストレスです。

こちらこそ理学療法士が介入すべきポイントでして。

例えば次の図のように組織が線維化してしまったとします。ここには血管流入も存在します。

本来存在しないところに流入してしまった血管のことを「異常血管」と表現します。

そして血管には必ず神経が伴走します。

ここで自分の痛みの解釈をまとめておきます。

痛みというのは発痛物質に対し圧が加わり刺激を受けることで、初めて痛みとして体が認識します。

圧痛の評価にはこのような意義があります。

つまり

組織が瘢痕化し、その組織圧が高まるような動作では痛みが生じやすいということです。

分離症とかで股関節の伸展や回旋が出ていないために、腰椎過伸展・回旋で代償してしまう。

肩関節で後方組織が硬いために骨頭が前方偏位し、前方組織が圧迫・伸張されてしまう。

この辺りが単純な機械的ストレスでしょうか。

またこのような話は今後もさせていただきます。

・痛みを出すだけの圧の閾値を越えない環境を作り出すことが大切。

慢性疼痛に対する治療。

今まで述べてきた慢性疼痛に対して、僕らができることは如何にしてその組織圧が上がらないようにするか。あるいはそこの瘢痕組織に柔軟性を持たせるか。

だと僕は考えています。

だからこそ

正確に組織の触診ができる、解剖学的知識がある、どのような運動で関節がどう動く(運動学)、これらがめちゃくちゃ大切になってくるというわけです。

この図はあくまで例です。

半月板が損傷、血管流入したときで考えると、

膝屈曲位のまま歩行を繰り返すと、膝関節に回旋ストレスが生じ続けます。

そこで伸展を0度までしっかり出した状態で正常歩行を行うと、この回旋ストレスが軽減され、さらには生じた異常血管もだんだんと沈静化されていくのではないかということです。

ただ半月板損傷の患者さんとかは、本当に半月板が痛いのかはしっかり触診などでみていく必要はあります。結構周りの筋とか軟部組織で痛み出ている人多い印象です。

あくまで考え方の参考程度に!

次の「参考」もあくまで1例です。

・鵞足炎でインソールを用いると鵞足に対する機械的ストレスが軽減する。時間と共にに炎症を起こしていた根本である異常血管が死滅していく(アポトーシス)。

最後に。

長々と話してきましたが。。

痛みの種類はしっかり把握しましょう!

炎症によるものなのか、長期的な拘縮によるものなのか、一発外傷による怪我なのか、慢性的な姿勢などによる変性なのか、

まずは問診でその痛みがどのようにして生じてしまったのか、ストーリーをイメージするようにしています。

ぜひここまでの話を参考にしてもらえればと思います!!