リハビリテーション

アキレス腱断裂に対するリハビリテーションの考え方。part① 〜アキレス腱縫合術後〜

はじめに。

今回はアキレス腱断裂の術後リハビリテーションについて考えてみたいと思います。

アキレス腱断裂はどのように生じるのか?腱の修復過程は?についてまとめてみますので、ぜひ参考にしてみてください!

アキレス腱断裂はどのようにして生じるのか。

ほとんどのケースが非接触的に生じるとされています。(約83%)

ダッシュ直前の軸足側、片足での切り返し動作、ジャンプ直前の踏切足側

やはりアキレス腱に対し、遠心性収縮が生じたときにアキレス腱は切れてしまうようです。

片脚での前後方向の切り替え動作でアキレス腱への負荷が高まります。

主にスポーツ活動中に生じるケースが多いでしょう。

30-40代程度の男性に多く生じるそうです。

腱ってなにでできてるの?

腱の主要構成要素は水分と細胞、細胞外基質(コラーゲン、非コラーゲン基質)です。

水分が全重量の70%で、残りの部分の約85%がコラーゲンで構成されています。

細かい話になりますが、腱を構成するコラーゲンもいろいろあって、、

1番多いのがⅠ型コラーゲン、2番目に多いのがⅢ型コラーゲンが多いです。Ⅰ型コラーゲンは線維が規則的に並んでいてガチガチのコラーゲンです。

また、腱において血管は乏しく、筋腱付着部やパラテノン、滑液鞘などの腱周囲組織から血液が供給されます。腱はその周りの組織から栄養供給されます。

神経も存在しています。ただほとんどの神経線維は腱実質部に入らずその表面に停止します。そこには痛みを感知する神経や張力の変化を感知する神経が存在します。

まあ何が言いたいかというと、

腱自体はほぼ伸びなくて、血流が乏しく治りにくい。神経も腱実質部にはなくて痛みも普通は感じないだろうということです。

腱の修復過程。

腱の回復を考えたときに、障害腱は変性部(縫合部)が正常に戻る力には限界がある一方で、正常部は強化可能であるとされています。

このことから障害腱の回復は変性部の治癒ではなく、その周囲の正常部の適合と強化によるところが大きいと考えられています。

障害腱が治療後に大きく見えたりするのは、このせいかもしれません。

各組織の回復過程、期間を上図に示しました。

これを見ると、腱組織は4週程度までは炎症・増殖期であることがわかります。

そして6週程度かかってようやく瘢痕組織による癒合が生じるとされています。

6週程度までは他動的にぐいぐい伸張ストレスを加えたり、遠心性や等尺性の収縮を加えないほうが賢明かもしれません。

というのも、

腱や靭帯組織の修復過程をリハビリテーションで阻害してはいけないからです。

elongationと表現したりすることもあるのですが、腱の「過伸張」です。

これを引き起こしてしまうと、筋の収縮がうまく骨に伝わらず、結果近出力の低下を招きうるということです。

だるんだるんのゴムとかって切れやすい、あるいは端っこを揺らしても反対側までその揺れが届かないですよね。

こうなってしまうと、リハビリで腱を縮めるということは不可能なので、一生そのままということにもなりかねません。

最後に。

アキレス腱や肩の腱板修復術後なんかもそうなのですが、

お医者さんが治した組織の修復過程を無視してリハビリを進めることはありえません。

またお話ししますが、

骨や腱、半月板や靭帯など、お医者さんたちは構造的に破綻したものを外科的に修復あるいは再建といった形で治療されます。

注射なんかもそうで、関節内にヒアルロン酸を注入して関節の動きを潤滑にするというのも、構造的な問題ととれます。

理学療法士はたちうちできないところです。

僕らにできることは固くなってしまった(拘縮した)軟部組織をいかに動かして、その関節の機能性を高められるかということです。

ここはかなり大切なところなので、また別の機会に話しますね!!