リハビリテーション

肩関節可動域拡大の際に考えること。前と後どっちが大切なのか?

はじめに。

今日は肩関節可動域を出してくときに考えることについて話していこうと思います。

Bankart&Bristowをされた患者さんの術後リハビリテーションを担当させてもらった中で考えたこと、先輩PTに教えていただいたことをまとめてみようかと。。

まずいつも考えているのは手術中に切ったところの滑走性維持、筋緊張の入りやすい部位の拘縮予防、Drの直した構造を壊さないこと、これらを意識しています。

Bristowだと、大胸筋や三角筋、小胸筋や肩甲下筋などが侵襲されやすいかと、、

もちろん棘下筋やQLSを構成する筋も力が入りやすく、特に関節包に付着してくる筋は肩が硬くならないためにもしっかり緩めておく必要はあると考えてます。

前方組織の滑走性を維持することはなぜ大切なのか。

タイトルにも書いている通り、前方組織の滑走維持と後方組織の柔軟性維持どちらが大切なのかというのを考えてみたいのですが、、

前方組織の柔軟性や滑りを維持しておくことは自動挙上する際に必ず必要になってくるため前方の組織の方が大切であると思ってます。(教えられたことを自分なりに解釈しました)

というのも、

膝関節で「extention lag」という言葉があると思いますが、これは大腿四頭筋の筋力低下によってのみ起こる事象ではないわけで、、

膝蓋上嚢が癒着してしまったり、IFPと膝蓋靭帯で拘縮が生じていたり、四頭筋の力が脛骨に伝わっていないために生じるものです。

それを肩に当てはめると、まず肩挙上に関わる組織の三角筋が動いていないと話にならないわけで、

腱板がもしっかり動いてないと骨頭の求心位が保てず上げにくかったり、三角筋の下にある滑液包、その近くにある烏口下滑液包や肩峰下滑液包、CHL、SSC、SSPなど全てがある程度動いてこないと挙上は難しいと思います。

三角筋の力が上腕骨に伝わる環境を整えてあげるという考え方でしょうか。

もちろん腋窩神経麻痺がないかしっかり見とかないといけないですけど。

さらにより綺麗な挙上を目指したいところなんですけど、、、

後方組織の重要性は。

前方の話ばかりしていましたが、もちろん後方組織の拘縮予防も大切です。

とくに下垂位での内旋がお腹につくくらいまではほしいところ(健側の可動域にもよる)

ただ外旋が入るくらいISPなどの後方組織もたわまないともちろん伸びにくいです。

これは前の組織にも言えたことだとは思いますが、

下垂位回旋は外旋60、内旋80とある程度標準値が存在しています。

内旋可動域の方が大きいということはより後方が伸張されなければならないことを示しています。後方の方が収縮幅が大きくなります。しっかりたわむ必要もあり伸張される必要もあるのは後方なのかもしれません。

後方を弛緩させるためには前方が伸張されないといけないです。

何が言いたいかというと、

前方組織を優先的に動かしていく意味は、

①挙上でlagを残さないため ②後方組織の収縮弛緩を促すため

と考えています。

前方組織の評価はどのように行っているか。

評価はどのように行っているか、これは最も重要だと思います。

一口に外旋と言っても、下垂位、外転位、屈曲位など、360°動く関節なだけあって外旋にも種類があります。

あまり1st、2nd、3rdという言い方は好きではなく、略称として使うことはありますが、どの肢位でどの組織が伸張されるのかというのは常に考えるようにしています。

下垂位ならSSCやCHLは伸張されそうですし、外転位ならもう少し下方の組織も伸びそうだなとかそんな感じです。

緩い表現で申し訳ありません、、ここでごちゃごちゃ書くと脱線してしまいそうなので、、

モーションアトラスを使うと動画で解剖学を学べるので関節の動きと組織の動きがわかりやすくなります。

先日教えてもらったことは、屈曲位外旋+内転で大結節がどの程度外側に出てくるかもみておけとのことでした。

これはCHLとかがどの程度柔軟性をもって動いてるかなどが見れると思います。健側と比較すると結構でていない患者さん多いようでして、

SSCの下部線維とかもみれるのかな、、?

最後に

そんな感じです。

僕は外旋可動域からしっかり可動域を出していくことを意識しています。

いい忘れてましたが、

Bankart&Bristowで外旋ってそんなにすぐ出していっていいの?という質問が絶対あると思うのですが、

これはその手術を行ったDrとしっかり協議する必要はあると思います。

いくらsling effectで骨頭を止めているとはいえ、早期から外旋とくに脱臼肢位である外転位外旋はあまり出しすぎるとせっかく脱臼に強い安定した肩関節にする手術なのに、

そのコンセプトを無視して緩い肩にしてしまうリスクになり得ます。

ただ、

みんな基本的に術後の痛みや攣縮が生じてそうそう簡単に外旋が出ない印象はあります。

なんせSSCとか軟部組織をぶった切ってるわけですから、そりゃ痛そうです。

なんで基本的には頑張って外旋は出していきます。出過ぎてたらその時に考え直します。

Bankart&Bristowに限らず、外旋が出ていない症例では挙上もしにくくなるというのは常に頭に置いています。

挙上はADLで最も使う頻度が多いと思うので、ぜひ何かの参考になれば嬉しいです。

ではまた!!